このページを閉じる ×
特発性血小板減少性紫斑病のピロリ菌除菌療法 (2006/12/30)
 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は後天性の血小板減少症で、出血症状を主徴とし、発症に血小板膜に対する抗体が関与する自己免疫疾患の一つと考えられ副腎皮質ステロイド療法や摘脾療法が治療の基本である。最近本疾患のなかでヘリコバクタピロリ菌(HP菌)陽性症例に対して除菌療法により約40〜60%の症例が血小板増加効果を示し、HP菌が一部のITP症例の発症に関係していることが示唆され注目を浴びている。HP陽性ITPの臨床的特長は@HP感染頻度の高い中高年者のITPが多い。AITPとしての重症例は少ない。B骨髄巨核球数は正常よりも増加している症例が多い。C除菌成功群は不成功群に比し有意に、長期の血小板増加反応が認められる。D除菌前の血小板数、ITPとしての前治療は血小板増加反応に影響しない。E除菌療法による血小板増加反応はITPとしての羅病期間が短い症例に有意に多い。F血小板増加反応は除菌後1ヶ月で認められる。G除菌療法の有意性の報告は日本、イタリア、台湾など一部の国に限られている。HP陽性ITPに対して除菌療法がITP治療として有用であり、HP関連ITPとしてITPの中に位置づけることが可能と考えられる。HP菌感染とITPの発症にはCagA抗原と血小板膜抗原との間の所謂分子相同性機序が有力である。

日本内科学会雑誌 2006年11月号 より

当院でもピロリ菌検査および除菌療法を行っています。
この日記のご意見・ご感想はこちらにお願いします。
このページを閉じる ×