食道潰瘍の原因は、食道癌、逆流性食道炎及び食道異物によるものがあります。
今回は食道遺物による潰瘍の患者様について報告したいと思います。
60歳代の男性です。最近は水なしで服用でき、口の中で溶けるタイプの薬が多くなってきていますね。その感覚で普通の薬を服用した方です。服用直後から1時間くらい胸のつかえ感があり、その後の心窩部痛（みぞおちの痛み）があったそうですが放置されていました。
　私の診療所には、前日便が黒かったということで来院されました。
胃カメラ（上部消化管内視鏡）をしてみると、下部食道に潰瘍と、その部をふさぐ凝血（写真下段）を認めました。その手前に傷がついていました（写真上段）ので、薬によるものではないかと疑いました。胃、12指腸は軽い炎症でしたので、出血源はこの部位だとすぐ確信できました。
今後、口腔内溶解錠が増えると、更にこのような患者様も増えると予想されます。
薬を飲む時は、くれぐれも多めの水でお願いします。