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早期食道癌 (2006/02/17)
 2月4日(土)〜5(日)に日本消化器内視鏡学会九州セミナーが、アクロス福岡で開催されました。今回は、埼玉県立がんセンター・有馬美和子先生の「拡大内視鏡による食道癌の診断」の講演を興味深く拝聴致しました。
先生は、フジノン製の電子スコープ(富士フィルムと東芝メディカルの合併会社)を使用され、90〜100倍の倍率で観察すると、小さな血管模様(Micso Vascular Pattern)から、食道癌の診断のみならず、その癌がどの深さまで浸潤しているかが分かるという事でした。
従来はルゴール染色に染まらない部分が癌の可能性があるとか、トルイジンブルー染色で染まる部分が深達度が深いと言われていましたが、新たな視点で分類されたのに感心しました。
100倍という倍率は、みなさんは想像がつかないと思いますが、顕微鏡の弱い拡大が100倍で、強拡大が400倍ですので、顕微鏡のレベルで食道の表面を見ていることになります。
通常、癌を疑ったら組織を採取(生検ともいいます)して、診断を確定する訳ですが、生検するとその部が傷つき、線維化を起こすので、後で内視鏡的粘膜切除(EMR)をする時に影響すると言われていますが、有馬先生は拡大内視鏡だけで3mmの食道癌を見つけ、生検せずに内視鏡治療をされています。
当院では、オリンパス製の内視鏡でしかも拡大内視鏡は導入していませんので、1cm位の食道癌をターゲットにしています。当院で見つけ、済生会病院で内視鏡的切除した患者さんの内視鏡写真を供覧します。
(A):通常の内視鏡像です。下の方に三角形の発赤を認めます。周囲には、ミミズが這ったような血管模様が見られます。
(B):ルゴールを散布した時の内視鏡像です。下の方に白い三角形の部分(ルゴールに染まらなかった部分)が(A)よりはっきり分かると思います。

 当院では、食道癌を疑う時にもちろん、50歳以上の男性でタバコを吸う方は本人の承諾を得てルゴール散布をし、より早期の食道癌を見つけるようにしています。
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